札幌市長選の公開討論会の感想

ひーら

2011年03月20日 00:01


17日に行われた札幌市長選2候補の討論会のTV放送を録画で見た。

感想としては、今回の討論会は、現職の上田市長の圧勝。

政策の大きな違いは、他の政令指定都市と比べても札幌は投資をしていない。公共投資を増やし、経済を活性化させるべきだという本間さんと、今後の労働人口減を見越すと将来に残す借金をむやみに増やすべきではなく、市民が主体的に活動することで街を活性化させる必要があるという上田市長。
具体的には、地下鉄を清田方面に延伸させるという本間さんと、市電のルートをループにし利用を活性化させるという上田さん。
市政は議会重視という本間さんと、直接、伝わってくる市民の声を聞いて政策を作ってきたという上田さん。
他は、子育てや高齢者のサポート、道都としての札幌の役割、産業育成の方向等、まあ、そんなに違わない。

上田さん圧勝と感じたのは、方向性と実績が一貫しているところ。「昔のようにどんどん金入れて、物を作って行く時代は終わったよね。人も減ってくるんだし、市民一人一人ががんばって魅力のある街づくりをしていく必要があるんだよ。」というような主張をベースに、実際に行ってきた取り組みを次々と紹介し、目標に向かって成果を出してきたという主張には、説得力があった。現職なので、実際の取り組みを紹介できる有利さはあると思うが、この討論会のために、かなり準備してきたように思えた。
本間さんは、そもそも方向性が違うという主張なので、投資増やせば景気よくなるよねというようなマクロなレベルの物言いではなく、具体的に、今、どのようなインフラ、事業に、いくら投資をすることで、どのような成果を出せるかということを主張しなければならないのに、それが全くなく完全に準備不足。

こちらとしては、財政のプロが札幌市の金の使い方が間違ってるというのだから、上田市政の方向性とは異なる説得性のある対案が出てくることに、期待はしていた。投資を増やすという策により、上田市政よりよい成果を生み出せるのであれば、確かにそれは魅力的だ。
しかし、具体的な街づくり提案はなく、聞いている側からすると、地下鉄延伸と除雪の強化で、土建業界に金入れておしまいなの?というような印象。
残念。

本間さんは、所詮、自民党から担ぎ出された落下傘候補であるというのが苦しいところ。
札幌市の財政政策を批判するが、選挙戦をともに戦う高橋知事の手前、北海道の財政政策に触れての物言いが全くできない。そちらの方がよっぽど酷いのに高橋知事を持ち上げるので、あれあれ?道の財政政策は酷いの知ってるよね?と言いたくなってしまう。本音の所はどうなのか、旧態依然とした選挙戦、主張をせざるを得ないのも、ちょっとかわいそうなところはある。
戦略的にも上手くない。除雪が悪いとばかり強調しすぎ。あなた、雪と共生する雪国の暮らしを思い描けないでしょ?所詮、道外の人だから仕方ないね。と言われておしまいでしょう。きっと、よいブレーンをつけてもらっていないのだろう。
しかし、とても真面目で実直な人柄に見受けられ、若いのにもかかわらず、冷静にしっかりとした受け答えをするところは、とても好感が持てる。あとは、財政の専門家としての能力の高いところを、ぜひ、示してもらいたいところ。

一方、市長の主張は首尾一貫し、説得力があった。
ただし、幾分感情的になったようなシーンがあったのが、残念だった。
本間さんの言い分が、抽象論、一般論に終始したし、正面から向かってきたこともあったのだろうか、「よそから来て何がわかってるの?若造め!」というような苛立ちがあったようにも見受けられたが、余裕を持った冷静さが必要ではなかったか。

23日は、JC主催の公開討論
本間さんが巻き返し、議論が深まることに期待したい。

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